聖火は心の中で永遠に。
都庁まで計1万515人が火を繋ぐ
その後の聖火について書いておきたいと思います。
TO K Y O2020の聖火リレーは7月23日、都内で最終日を迎え、都庁前の都民広場で到着式が開かれました。
式典で小池百合子都知事は「それぞれの思いでつないだ聖火がついに到着した。皆さんの力によるものと感謝している」と述べました。
3月25日、東京電力福島第一原発事故の対応拠点だった「Jヴィレッジ」(福島県楢葉町、広野町)を出発し、121日間かけて47都道府県を巡り、最終的には都庁まで、合計1万515人が聖火を繋ぎました。
公道リレーが中止されるなど険しい道のりでしたが、多くのランナーの思いを乗せた「希望の火」が絶えることはありませんでした。
そして、1万515人の思いが繋がれたのです。そのなかの一人になれたことは大変光栄なことでした。
7月23日の開会式。
聖火は、五輪3連覇の柔道、野村忠宏さん、レスリングの吉田沙保里さんの手によって国立競技場に運ばれました。
その後、ミスタープロ野球・長嶋茂雄さん、世界の王貞治さん、松井秀喜さんの3人に引き継がれました。脳梗塞で倒れ、体に不自由のある長嶋さんは、松井さんに支えられながら歩きました。
大坂なおみ選手が聖火リレーの最終走者に
さらに新型コロナの最前線で働き続ける医療関係者、パラリンピック選手の土田和歌子さん、東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島出身の子ども6人がつなぎました。
聖火リレーの最終走者は、テニスの大坂なおみ選手でした。
トーチを受け取った大坂さんが階段の前に立つと、ステージ上に聖火台が登場しました。大阪さんは、ゆっくりと階段を登り、聖火を灯し、トーチを高々と掲げました。
大阪選手はツイッターに「今後の人生の中で、アスリートとして最高に名誉なこと。今の感情を言葉で表すことはできないけど、感謝の気持ちでいっぱいであることは分かる」と投稿しました。
1万人超で思いを込めて繋いできた聖火は、大会期間中、有明とお台場を結ぶ「夢の大橋」にありました。
周囲には近づけないようバリケードが設置されていますが、細部までこだわった見事な彫刻を見ることができました。
聖火台は、当初の開閉会式演出企画チーム統括だった野村萬斎さんの「太陽の下に皆が集い、皆が平等の存在であり、皆がエネルギーを得る」というコンセプトに基づいてデザインされたそうです。
炎の燃料には次世代エネルギーとして注目される水素エネルギーが使用されています。
本来、水素は燃焼時に無色透明の炎で目に見えないため、炭酸ナトリウムを使用して炎色反応によって黄色の炎を演出しているのだそうです。
8月8日の閉会式。
聖火の納火は俳優の大竹しのぶさんによって行われました。
子供たちと「星巡りの歌」を熱唱。
「月の光」の曲が流れた後、大竹と子供たちの手の動きによって球体の聖火台が静かに閉まり、聖火は消えました。
しかし、私たちの心の中で永遠に燃え続けることでしょう。